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きれいな歯並びを作るための子育て〜PART2
(丈夫なあご、りりしい顔だちを作るために)

子供たちのかわいいしぐさを見ると、誰しもこの子は将来、きれいな歯並びになって
笑顔が素晴らしい人になってほしいと思うものです。
『三つ子の魂、百まで』ということわざがありますが、まさにきれいな歯並びや
丈夫なあご、りりしい顔だちを作るための土台は、実は3歳までの生活(しつけ)
によって大本が決まってしまう、といっても過言ではありません。  
前号(1.妊娠中、2.新生児期)に続いて、不正咬合の予防という観点から見た
子育てについてお話しします。
離乳期以降の食事
 私(木南)は離乳期こそ、将来の歯並びを決定する大切な時期であろうと考えています。
ここで失敗すると、咀嚼(咬むこと)、嚥下(ごっくん)が一生おかしなことになるかも
しれません。正しい食生活、しっかりと咬むことの基本はここで形作られ るのです。
離乳に関する方法は様々あり、また個人個人でも違いがあります。画一的な法則は存在
しませんが、ここでは視点を変えて、将来の歯並びがよくなるためには、離乳が終わり
3歳になるまでにどのようなことに気をつければよいかを考えてみましょう。
よく咬む子供になるように……
ベビーフードについて
最近はベビーフードが氾濫しています。忙しいお母さん方のこと。
ついつい出来合いのベビーフードで済ませることも……。
ここで注意すべきは、“○か月児用”と業者が表示していても、それらの製品は本来の年齢で
食するものよりも、柔らか過ぎるものがほとんどだということです。プリンのような歯ごたえ
のどごしでほとんど咬まなくても、赤ちゃんが簡単に飲み込めるようになっています。赤ちゃ
んが食べてくれなくてはその製品は売れない。売れるためには柔らかめを販売する傾向がある
という点に気付いていただきたいのです!
栄養のバランスと歯ごたえに注意して作った、愛情のこもった手作り離乳食に勝るものはあり
ません。 最近ではスーパーのお総菜コーナーに出来合いの食品が氾濫しています。
でも子供の頃に食べた『おふくろの味』は子供たちの一生の財産ではないでしょうか?

歯ごたえとは?
その食物が『舌で押しつぶせるか?押しつぶせないか?』という点が、『咬む』 ことによる
あごの成長促進へに効果を左右するように思います。 舌で押しつぶすだけでゴックンできる
ものばかり食べていると、『咬みつぶす』というあごの動きが育ちません。
最近の子供たちの好物……ハンバーグ、フライドポテト、プリン、ヨーグルトなどなどは歯
を使って咬まなくても、舌で押しつぶしてゴックンしておしまい、というも のが大半です。
このままではきっとあごの小さい人がますます増えていくのでしょ う。 原始時代と違って
現代では硬いものをバリバリと食べる、ということはやはり無理 だとは思いますが、その条
件の中でお母さん方が食事を通して、子供たちのあごを育ててあげよう、という思いをお持
ちならば、調理法に気をつけていただくことが必要ではないでしょうか? 食物や調理法を選
択するに当たっては、この『舌で押しつぶせるか?押しつぶせ ないか?』という点をぜひ念
頭に置いていただきたいと思います。
舌だけではつぶせないもので、どうしても咬まなくてはならないもの(野菜、肉) を、年齢
に応じて少しずつ段階を経て食べさせてあげましょう。
柔らかいものから次第に硬いものへ。小さなものからだんだんと大きなものへ。
お母さんが離乳食や子供の食事を実際に口にしてみて、歯ごたえを確かめてみることが大切
です。『舌で押しつぶせる』ものばかりではないか?『咬まずに飲み込めるもの』ものばかり
ではないか?と、常に考えてみることが必要ではないでしょうか ?

動物を見習う?
野生動物は親が口の中で咬んだものを子供に食べさせています。当然のことです。
人間も動物である以上、お母さんが口の中で咬んで与えるのが本来の姿なのかもしれません。
皆さんは『口の中で咬んだものを、子供の口に入れるなんて不潔で不衛生だ!』と思われま
すか?短絡的な歯医者は『そんなことをしたら、親のムシ歯が子供にうつってしまうよ』と
言います。歯学部の細菌学の授業で次のように習ったからです。ムシ歯をつくるばい菌の種
類は母子で一致する。これはきっと口うつしで食 べさせているからだ。
困ったことだと………。  でもよく考えれば、ある意味では母子で同じ菌を持っていて当然
なんです。一緒に生活しているのですから。親子とはそういうものなんです。大切なことは
菌がうつることではなく、ムシ歯菌を減らすように親子で一緒に努力することではないでし
ょうか?その食物に歯ごたえがあって、子供がしっかり咬むことに寄与する食事であるかどう
かは、お母さんがその食物の硬さを十分に把握し、子供の成長に応じて与えてあげ ることが
不可欠です。『この野菜はちょっと硬いな』と思ったら、ちょっと咬んでから子供の口に入れ
てやる、ということは離乳期では大切なことだと思います。加熱して柔らかくするということ
だけでは子供たちの微妙な感覚は育ちません。 包丁でたたいてもそれが本当にどれだけの歯ご
たえがあるのか、実際よくわかりません。 お母さんの繊細なお口の感覚を通じてはじめてこの
段階でどんな硬さのものを食 べさせたらよいのか、食べてくれるのかということが自然にわか
るものだと思います。
3歳でしっかり咬んでから飲み込むことができる子供になってほしいものですネ。
ワニの口とウシの口
肉食獣の代表はワニ。鋭く尖った歯をしており、獲物をガブッと咬んだら離しません。
ワニの口はちょうつがいのような単純な運動(蝶番運動)しかできません。
意外なことにかみ切ることはできません。獲物に咬みついたら後は丸呑みするだけなのです。
猫のような肉食獣は咬みついた後、頭を振って肉を引きちぎろうとします。
これも人間とはかなり違った顎の動きです。 一方、草食獣の代表はウシ。平らな臼(うす)
のような形の歯をしており、もぐもぐと何回も咬んでいて、すりつぶし運動(臼磨運動)
をしています。 人間の場合、よく咬む人はウシのように十分食物を咬みつぶせる人で
しっかりし た骨太のあごの骨をしています。逆にあまり咬まない人は歯の摩耗面がなく
尖った歯のままで、あごはきゃしゃでチョロチョロッとかんではすぐに飲み込む人です。
赤ちゃんは開け閉めを主体とする単純なあごのうごきしかできません。離乳食を通じて
食物の硬さの感覚を知り、あごの複雑な動かし方を覚えていくのです。 パカパカと開閉
運動するだけのあごの動きではなく、もぐもぐ、キュッキュッと咬みつぶすようなあごの
動きをすることによって、あごの骨が十分大きく成長していき、歯並びがよくなる基礎が
できるのです。 私たち日本人は、何千年も穀物が主体の食生活をしてきました。
何も西洋風の肉食文化にあこがれることはありません。穀物、野菜中心の食事をよく咬んで
食べるよ うな生活をすること……歯並びの基礎を作るためには、実はそのあたりがキーポイ
ントになるような気がしてなりません。

なかなかうまく食べてくれない…… ?
決して焦らずにゆっくりと……  昔と違って核家族化が進んだ現代では、子供の面倒を見てく
れるおばあさん、おじいさんとの同居が少なくなり、生活が時間に追われるようになって
います。
間食をしながら夜更かししては朝寝坊。むっくりと起きてきて、『さあ、ごはんを おなか
いっぱい食べなさい。』『時間通りに食べなさい。』と言われても食べる気がしない。
現代人は生活が豊かなので、本当の空腹感を覚えることがない。子供でも同じです。
食事の前には空腹感を持つこと。野生動物では当然のことです。それが食事の基本ではない
でしょうか?家の中にこもっていておなかが空きますか? 規則正しい生活をして
十分に体を動かすことが大切です。子供でいえば、元気いっぱい外遊びをする。
犬でも1日に1回は散歩が必要ですネ。赤ちゃんや小さい子供でも、お外で遊ぶことは
もともと大好きなんです。ありがたいことに今の日本では、子供の体重が増えないよう
な栄養量しか摂取できない、というような劣悪な環境は考えられませんので
『腹が減ったら食べるさ。』と鷹揚に構えてみてはいかがでしょうか?

液体で流し込まないこと
なかなかゴックンせずに、口に食物を入れたままうろうろしている……。
早くゴックンさせるために、ついつい液体を与えて飲み込ませようとしていませんか?
最近では外食をすると、真っ先にお茶か水が出てきます。知らず知らずの間に 食事中に
かなりの液体を摂取するという習慣が(私も含めて)ついてしまいました。しかし、本来の
日本食の作法では、最初にお汁に口を付けた後は、そんなにガブガブとお茶を飲んだりする
ものではないのです。 十分に咬むことによって、唾液の中の酵素が食物と十分に反応した後
食物が胃の中に入り、胃酸が食物を消化していきます。もしも水をガブガブ飲むと、唾液や
胃酸 が薄められてしまい、食物の消化という化学反応の効率が悪くなってしまいます。
一方、私たちは『牛乳は栄養がある』という概念を、いろんなところで植え付けられて
きました。食事の時にお茶代わりに牛乳を飲んでいる子供たちも、案外多いのではないで
しょうか? しかし、もともとの日本食にそんな作法があるでしょうか? 最近、栄養に関
する見直しが行われ、牛乳を多量に飲むと、かえってカルシウムなど他のミネラルを排泄
してしまうといわれるようになりました。哺乳類で離乳を終わったのに、それ以降も乳を
飲むのは人間だけ。これはある意味では異常なことでは ないでしょうか。過度の栄養を
取ることは実は、将来の成人病の基礎作り、ということにもなりかねません。お乳を離れる
から離乳食というのです。
歯ごたえに気をつ けながら、少しづつ固くしていくこと……いつまでも水分で流し込むのは
異常なんですネ。

甘い味には要注意!
赤ちゃんは教科書通り、時間通りに食べてくれるわけではありません。育児雑誌通りには
いかないのが当たり前なのですが、忙しいお母さんは子供が食べないと不安になって
ついつい甘い味で赤ちゃんを釣って、ごはんを口に入れようとします。
甘い味を早くから覚えてしまうと、それ以外のものを食べなくなり、その子に正しい味覚を
授けてあげることができません。またむし歯や肥満の発生という点からみても、決して好ま
しいことではないでしょう。あくまで薄味が基本です。

食事時の姿勢が大切です!!
子供に対する最大の教育は躾(しつけ)です。歯並びを良くする、という観点からみた場合
私は特に『正しい姿勢が大切』ということを強調したいと思います。  歯並びと姿勢……
一見、関係がなさそうですが、実はすごく密接な関係があるので す。
しっかりと咬むためには、首の骨がしっかりしていて、その上で頭がしっかりと 安定しなく
てはなりません。頭がふらふらしていては、しっかりと咬めないので、あごの骨が発育しな
いのです。『背筋が伸びていること』が何よりも大切です。昔のように畳で正座、という
生活ならばいやでも背筋が伸びるのですが、最近はいすを使った生活習慣が主体です。
大人用のテーブルに合う子供用のいすなどはありません。いきおい、足先が床に届かずに
ぶらぶらさせた姿勢でごはんを食べることになります。この姿勢では骨盤がしっかりと
安定するはずがありません。ということはその上の背骨も頭もふらふら、という状態なのです。
これを長く続けていると『犬食い』になったり、猫背になったりしてくるわけです。
このような状態では、何度『姿勢を正しくしなさい!!』といってみても、できるはずが
ないのです。 いすに腰掛けた時に、足の裏が地面(床)に接地し、膝が直角に曲がる状態に
なるように、子供たちの足の下に何かを敷いて下さい。分厚い箱や電話帳など、
何でも構いません。それによって、骨盤が安定し、はじめて姿勢を良くするための基本が整います。
その上で『背筋を伸ばしなさい!!』としつけをしましょう。またできればいすは高さが
変えられる構造のものを選び、テーブルとの高さの関係も調整できれば申し分ありません。
『背筋がしゃんと伸びていること』は子供たちの体の正常な発育にとって何よりも大切です。
それにより骨盤から頭まで結んで走っている脊柱起立筋という筋肉が正しく発育するのです。
人間は二足歩行するから人間なのです。脊柱起立筋はまさにその二足歩行を支えるものであ
り体中のすべての筋肉の要(かなめ)ともなる筋肉なのです。最近の若者の中にはすぐに地面に
座り込んでしまう『じべたりあん』が多く生息していますが、それは背筋が曲がった悪姿勢
を続けてきたために、重力に押しつぶされてしまった哀れな姿と思えてなりません。

過剰な清潔感を捨てよう。  
『まあ!またこぼして!!』でも本当にこぼしてはだめなのでしょうか?手や指の動きが
まだまだぎこちない赤ちゃんや幼児では、こぼすのが当たり前。
最初のうちは手でつかんで食べるのも、指の動き、感覚の訓練。ポロポロこぼしながら
うまくなっていくのです。手づかみで食べられるようになって、それで食べ物の味を
覚え、咬み方を知り、指の動き、手の動きを知り、そしてつぎにスプーンを持てるよう
になっていくのです。『行儀悪い!』『ばっちい!』と頭から怒らずに『訓練、訓練』
といって余裕を持ってみてあげることができれば素晴らしいことですネ。
あと始末や掃除が大変なので、ついつい頭にきてしまうのですが、大きな敷物を敷いたり
夏ならば裸にする、冬ならスモックを着せるなりして、なんとか汚れても良 いような環境
を作ることはできないでしょうか?液体の入ったコップを遠ざけるだけでも、こぼす危険が
減るので、ずいぶん手間が減ることでしょう。
きれいな歯並びを作るための子育て〜PART3




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