きれいな歯並びを作るための子育て
(丈夫なあご、りりしい顔だちを作るために) |
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人間のからだの中の臓器や器官の形(形態)と働き(機能)は表裏一体の関係にあります。
歯並びが良いということは、あご(顎)の機能が良いということでもあります。
また、あごだけではなく実は顔面全体、からだ全体の調和がとれている、ということでも
あります。歯並びは呼吸や嚥下(えんげ)、咀嚼(そしゃく)、姿勢、などといった運動
と密接に関連しており、口の中だけでなく、全身からその成り立ちについ て考えなくては
ならないと、これまでのきなみ通信でも再三、申し上げてきました。あどけない赤ちゃん
の寝顔を見ると、誰しもこの子は将来、きれいな歯並びになって、笑顔が素晴らしい人に
なってほしいと思うものです。
それにはもちろん遺伝という要素もありますが、実は後天的な環境こそが大切であり
子育てのいかんによっては想像もつかないほどの変化が生じることがわかってきました。
『三つ子の魂、百まで』ということわざがありますが、まさにきれいな歯並 びや
丈夫なあご、 りりしい顔だちを作るための土台は、実は3歳までの生活(しつけ)
によって大本が決まってしまうといっても過言ではありません。
今回は不正咬合の予防という観点から見た子育てについてお話してみたいと思います。 |
1.妊娠中に気をつけること
……妊娠中からスタートするのです! |
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出産後、赤ちゃんはすぐにおっぱいを求めて、お乳を吸って飲み込みます。
もしも この動作がうまくいかないと、それこそ命にかかわるのです。
ものをごっくんと飲み 込む動作は嚥下(えんげ)といいますが、赤ちゃんの
生命維持にとっては、呼吸の次に大切な基本動作なのです。この嚥下は唇(くちびる)
ほっぺた、舌、のどの筋肉を極めて巧妙に組み合わせた非常に複雑な動きです。
実は、この動きの基本はお母さ んのおなかの中でつちかわれます。
すなわち胎児は妊娠末期には羊水を1日に750 mlも飲んでいるといわれます。
一方、出産直後にはいきなり呼吸という動作を習得 しなければならないので、他に手が
まわりません。そのために嚥下という動作は胎内 であらかじめ、ある程度準備しておき
ましょうというわけですが、羊水を正常に保つ には子宮壁と胎盤との栄養交換が十分行
われる必要があります。母親が姿勢を正して ゆっくりと歩くことにより、骨盤を整える
とともに、この部位での循環血行もよくな るので、胎児に十分な栄養が供給され、嚥下
の習得にもプラスとなります。妊娠しているからといって、いたずらに安静を求めて運動
不足に陥ったりするのは感心しません。もちろん、重いものを持ち上げたり、過剰な運動
をしたりするのは論外でしょう が、ストレスをコントロールしながら食事に気をつけると
ともに、『適度にゆっくりと歩くこと』をぜひとも妊娠中の生活習慣に取り入れていただき
たいと思います。(ただし産後の6週間は、骨盤環をはじめ全身の軟骨結合が緩んでいるの
で、徹底 した安静が基本となります。ここで無理をしたら母体をこわしてしまいます。) |
2.新生児期〜1歳頃までに気をつけること
……重力に押しつぶされない体を作る |
この頃はグニャグニャな体を、重力に負けぬようにしっかりさせていくための重要な時期です
人間が動物と違うのは、二足歩行をするという点が最も際立った違いです。
フラフラせぬよう…が直立の基本。それを支えるのは背骨です。大人の背骨は 首、胸、腰
骨盤の部分に分けられますが、真っ直ぐではなく適度なカーブがあります。
ところが生まれたばかりの赤ちゃんではそのようなカーブが未熟です。寝返りをしたり
頭を上にあげようとする動作が起こる頃から首の骨のカーブができてきます。
重力に抵抗して体を動かし、そしてハイハイからつかまりだち、そして歩行へと進んでいく
この大切な時期は、いわば動物から人間になるための準備期間と言えましょう。
実は、ものをしっかり噛むための下顎は、頭蓋骨からぶら下がって います。顔面を形づくる
骨も脳頭蓋にぶら下がっているといえます。一方、頭蓋骨は背骨の上に乗っかっているもので
あるため、土台ともいえる背骨や骨盤がフラフラしていたら、その上の顎や顔面がまともに育
つわけがありません。まさにこの時期は 『土台作り』の時期なのです。 |
| 3.授乳について |
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母親の胸に抱かれて安心しておっぱいを飲む赤ちゃんは、天使のようです。
病気に抵抗するための免疫物質が含まれている母乳は、母親から子供への大きな贈物です。
ここで、赤ちゃんが吐きやすいのは当たり前。なぜなら呼吸と嚥下は協調運動。
まだまだ未熟な呼吸やのどの筋肉を懸命になって鍛えているのだな、という程度に余裕を
持って見てあげるのがよいでしょう。縦抱きにしてげっぷをさせるのも重力と関係が
あります。授乳中の姿勢も同じことです。あんまり頭を低く下げると赤ちゃんは苦しく
てお乳を飲めません。 人工乳の場合には、赤ちゃんを抱く方向をときどき替えることを
忘れないようにしましょう。どちらか一方だけでは赤ちゃんの姿勢が偏ってしまい
筋肉に左右差、非対称がでてきます。母乳の場合には左右のおっぱいを交互に飲ませないと
お母さん のおっぱいが張って痛くなるので、無意識に抱き換えるのですが人工乳では案外
忘れがちな盲点となります。 赤ちゃんが『教科書通り』に反応してくれるはずはありません。
おっぱいを飲むのが遅い子供もいるでしょう。でも、安易に哺乳瓶の乳首に穴をあけたりして
はいけません。ヌーク乳首の開発思想に代表されるように、赤ちゃんが自分の力でぐいぐいと
吸いながら、徐々に口やのどの筋肉を鍛えていくことが必要なのです。
おなかがすく、すかないということも人によって大きな違いがあるでしょう。
いったん十分に空腹にしてから食事を取る、ということが子供の食事の基本ではないかと
私は思います。 |
| 4.就寝について |
赤ちゃんは寝ることがお仕事です。ここでも『重力に適応するように』
『体に左右 差のような偏りを作らないように』ということが基本です。
A.うつぶせ寝はだめ 乳幼児突然死症候群との関連が取り上げられるにつれ、最近では
うつぶせ寝は減ったようです。歯並び、顎や顔面の成長発育の面から見ても、うつぶせ寝は
危険だと思います。人間は本来、『草原に大の字になってあおむきで眠る猿』
であると思います。後頭部が『絶壁』になるのを嫌う気持ちは分からないこともありません
が、脳の形はもともと、前頭葉から中頭葉、後頭葉に移行するにつれてそのボリュームが増し
二足歩行時に重力に抵抗するような構造になっているのですから、後頭部は少々大きめのほう
が余裕があるとも言えるのです。ぜひともうつぶせ寝はやめていただきたいと思います。
B.布団と枕、重力に押しつぶされないために、寝返りは大切です。
それにはふかふかの布団はだめです。薄めの適度な『せんべい布団』であることが必要です。
また高い枕はやめましょう。首の骨を変形させることにもつながりかねません。
枕 を使うにしても子供の場合には、かなり低いものが無難でしょう。
子供はどうしても母親の方にすり寄ってきます。体の左右差を作らないように、寝る時の
位置関係も時々入れ替えましょう。いつも同じ側を向いて寝ていると、子供だけでなく、母親
も体の中に歪みをためこんでしまうことになります。 |
| 5.姿勢について |
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A.前抱きだっこベルト
最近、流行の『前抱きだっこベルト』を私はお勧めしません。
人間の体は歩行をはじめとして本来、前を向いて進むようにデザインされているのです
熊本の吉田勧持先生は、下顎が姿勢保持におけるバランサーとしての役割があることを
看破されましたが、前抱きだっこでは、その様な平衡感覚が育ちません。
また、自分がその様な姿勢で後ろ向きに加速運動をされたらどんな感覚をいだくでしょうか?
遊園地の絶叫マシーンのようなものではないでしょうか? 背中でのおんぶは何か田舎のおばあ
さんを連想させるようで、若いお母さん方に人気がないようです。
前抱きだっこでさっそうと歩く西洋人モデルへのあこがれがあるのかもしれません。
しかし、何千年も受け継がれてきた背中おんぶは、子供にとってずっと安心して楽に過ごせる
姿勢だと思います。
B.ベビーカー 背骨は必ずしも真っ直ぐではなく、首、胸、腰といった位置の違いにより
適度なカーブが必要です。腰骨の部位(腰椎=ようつい)では、上半身の体重を正しく
骨盤に伝えるために、前にカーブ(前弯)しているのが普通です。
ところがベビーカーに座ると、このカーブが逆(後弯)になってしまうのです。
たまのお出掛け程度ならともかく、普段使っている椅子もこの様なカーブを腰に生み出し
ているとしたら困りも のです。
子供はあちこちうろうろして目が離せないので、ついベビーカーに乗せてしまおうと思い
がちなのですが、あまり長時間は考えものでしょう。
大人でも高速道路などでちょっと長く車を運転していると、車を降りようとしても、腰が
痛くてなかなか動けないではありませんか。
体が柔らかい子供では、座るときの姿勢はとくに大切です。
『体育座り』や『あぐら』も腰椎や骨盤に掛かる力の方向からみて、あまりお勧めできる
ものではありません。 |
| 6.歩行の準備 |
最近は核家族化が進んで、子供の面倒を見てくれるおじいちゃん、おばあちゃんとの同居が
少なくなりました。住宅事情も変化して部屋は狭くなり、子供にとっては十 分にハイハイが
できる環境がなくなってきました。
『這えば立て、立てば歩めの親心』とは申しますが、実はその後の歩行機能を十分に発揮さ
せるためには、あまり早くから立ってはいけないのです。
まずは四つん這いで十分にハイハイすることによって、上半身の体重を支えるために必要な
股関節(こかんせつ)の中の骨の高まり(臼蓋)を、十分に育成しておくことが必要なのです。
それが十分できてはじめて、その後の歩行機能が安定した成長を続けられるのです。
最近はあまりハイハイすることなく、ひょいと立ち始める子供も多いようです。
し かし、あまり早くから歩行機に入れたりせずに、じっくりとハイハイさせてあげましょう。 |
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