いびきのお話
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『グガァーッ! ゴガァーッ!!』『グッグー』『ゴーゴー』
家族の中に大きないびき
をかく人がいて、うるさくて眠れないことはありませんか? まわりの人の迷惑はよそに
自分ではまったく気付かないというのがいびきの特徴です。たかがいびき、されどいびき。
実はいびきは睡眠中に起こっている呼吸困難を示すサインなのです。
今回は「いびき」を歯科領域の視点から探ってみようと思います。 |
■いびきは健康に良くない知らせです!!
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いびきの途中でクッと息が止まってしまう。……シーン……10秒……20秒……ガッと
音がしてようやく息が通った。
……ハアハアと苦しそうな呼吸……しばらくしてまたいびきが始まりまた無呼吸が……。
ひどい人は一晩に何百回も無呼吸状態が起こります。人生の3分の1は睡眠です。
これをいい加減に見過ごすことは大変危険だと思います。
生命維持の源は呼吸をすること。もしも自分が気づかない間に、睡眠中に息が時々
止まっているとしたらどうなるでしょうか?
からだが酸素不足になってしまいますネ!とりわけ脳はたくさんの酸素消費を必要とします
息苦しくなると眠りが浅くなるので、十分な睡眠が取れなくなってしまいます。
その結果、昼間でも眠い、居眠りをする、いつもぼんやりしている、疲れがとれない
起床時に頭痛がするといった症状が出てきます。
一方、からだが酸素不足になると、末梢までなんとか酸素を運ぼうとして心臓の拍動が
強まります。その結果、高血圧や不整脈、心臓病、脳血管障害を引き起こす場合もあります。
最近、話題になっている『睡眠時無呼吸症候群』という病気はまさに、このようないびきに
起因するものなのです。
子供の場合には、からだが大きくなるために必要な“成長ホルモン”は睡眠中に分泌量が
増加すると言われています。『寝る子は育つ』ということわざには、れっきとした科学的な
根拠があるわけです。もしも睡眠がうまくいかなかったら、成長ホルモンをはじめとする各種
のホルモンのバランスも崩れてしまい、からだの発育が障害されたり、夜尿症が起こったりす
るという意見もあります。子供のときから毎晩、大いびきをかいている、というのは健康上
思ったよりもずっと深刻な問題が隠れているのです。 |
| ■どうしていびきが起こるのか? |
呼吸をするときの空気の通り道(これを気道といいます)を考えてみましょう。
鼻(または口)から吸った空気はのどを通って気管から肺に入ります。
この気道の一部に狭いところがあると、その部位の空気抵抗が大きくなるために、軟組織が振動して音が発生します。それがいびきなのです。
いびきは鼻で起こると思っている人が多いのですが、実はいびきの大半は鼻ではなく
のどの一部分、すなわち口蓋垂(通称;のどちんこ)を含む軟口蓋とそのまわりの軟組織が
振動することによって起こります。夜、眠りに入ると、筋肉の緊張が解けてくるので
この軟口蓋という部分、あるいは舌の奥の方がだらりとゆるんで、のどの壁に接触して
気道が狭まる、あるいは詰まってしまい、いびきが発生するのです。 |
| ■いびきをかきやすい人とは? |
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?肥満した人……軟口蓋やのどの奥、舌までも脂肪がついて肥大するので気道が狭くなる。
?(鼻が悪くて)口で息をする人……軟口蓋が振動しやすくなるし、粘膜も乾燥する。
?扁桃肥大やアデノイド肥大の人……著しく気道が狭くなってしまう。口呼吸は大敵。
?あご(とくに下顎)の小さい人……出っ歯傾向の人が多い。のどの部分の気道が狭い。
*逆に受け口の人(下顎が大きい人が多い)は、あまりいびきをかかない。
?飲酒する人、疲労のひどい人……筋肉の緊張がゆるんで、軟組織が振動しやすくなる。
?睡眠中の姿勢によるもの……あお向けに寝ると、舌がのどの奥に落ち込みやすい。
両手を上げて万歳型で寝ると、のどが圧迫される。
?合わない枕を使っている人……首と頭の位置関係が悪くなり、気道が狭くなる。
☆子供では、???の理由によるいびきが多くみられます。 |
| ■いびきの治療方法 |
いびきそのものに効く飲み薬のようなものはありません。要はのどの奥が十分通るように、
気道を広げてやるということが治療方法となります。
?痩せること……大人の場合、いびきをかく人の大半は肥えている。減量が一番!
?のどや鼻のつまりを無くす……耳鼻咽喉科を受診し、鼻咽頭に問題がないか見てもらう。
気道の炎症を取り、粘膜の腫れを除いてもらう。
?過度の飲酒や疲労を控える。
?睡眠中の姿勢に注意する………横を向いて寝る→やや高めの枕が必要。
手は万歳せずに下にさげる。
?いびき抑制具を使う……(後述)
?手術……口蓋扁桃やアデノイド肥大が著しいときには、これを切除する。
(1週間から10日間程度の入院が必要。最近はレーザーを使うのでもっと短い。
耳鼻咽喉科医の専門的な判断が必要。)
他に、口蓋形成術、鼻中隔矯正術、鼻甲介手術、鼻茸切除術、舌形成術、舌・舌骨前方固
定術オトガイ舌骨筋前方牽引固定術、上・下顎骨前方移動術などがある。
?歯科矯正治療・・・当院では鼻咽頭の気道の問題を改善できるように、子供たちの小さい
顎を 大きく育成していくことも矯正治療の目的としてとらえています。 |
| ■きなみ先生の告白 |
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私は立派な“いびき人間”です。前述した『いびきをかきやすい人』の???に該当します。
痩せたいが、なかなか痩せられない意思薄弱な人間なのです。でも一日の仕事が終わって
ビールをプハーッと飲まないとストレスがたまってかえって病気になってしまうと思うのです。
(いびきが無くなっても、ストレスがたまるほうが嫌なのです。)
私の下顎は小さいのですが、すでに骨格が固まってしまった40歳を過ぎた大人では、これを
根本的に治すには手術して下顎を前に出すしかないと考えています。
しかし、そこまでやるのはいろんな面であまりにも大がかりでなかなか踏み切れません。
子供の頃に矯正して顎とのどを大きく育成できておれば良かったのに、とつくづく思います。
毎日、私は寝るときには必ず横を向いて寝ています。真上を向いてあお向けで寝ると、
息が詰まってしまいます。
頭と首との位置関係、気道の確保を考えた枕の高さ、硬さ、素材だけでなく、布団の硬さ
素材などにもこだわっていますが、効果は必ずしも充分ではありません。
横を向いて寝る限りは、多かれ少なかれ肩と腕が圧迫されてしんどいので、なんとかならない
ものかといつも思っています。 数年間にある耳鼻科を受診し、咽頭形成術、口蓋扁桃摘出術
舌小帯切除術を受けました。
術後、ある程度の効果はありましたが、原因療法ではなく、対症療法ですので、数年を経て
元に戻ってきたようです。
いびきと無呼吸に関しての正式な診断は、耳鼻咽喉科の先生がくだします。
ポリソムノグラフィーという装置あるいはその簡略型の装置を使います。顔面、首、胸など
何箇所もデータ測定用のコードを貼り付けて睡眠中の記録をとるわけです。
医科の方ではNasal CPAPという装置を使って陽圧を加えて空気を送り込み、喉の奥がふさがら
ないようにする装置を勧める向きもありますが、なかなか毎日続けるのは難しそうです。
いびき抑制を目指したその他の装置にはいくつかの種類があります。
スポーツ選手の中には鼻の頭にテープを張っている人がいます。鼻の穴を真っ直ぐにして
空気の通りを良くするためと説明されていますが、私の場合には全く効きませんでした。
また鼻の穴にはさむクリップにしても同じでした。
いびきの音に反応して皮膚を刺激する、というような腕巻きバンドがよく新聞広告などに
出ていますが、よくよく考えてみれば,前述したようないびきの原因に対して直接的に、働き
かけるものではないことが明らかなために、あえて使ってみようとは思いません。
(それで治るものなら、すでにみんなが使っているはずです。)
一方、ボクシングの選手が使うようなマウスピースを咬んで寝る、という方法があります。
下顎を前に突き出すと、確かにのどの奥が広がり呼吸が楽になる傾向が出ます。
そこで『前咬み』の状態に下顎の位置を留めておくようなマウスピースを作ってはめるわけ
です。 スリープ・スプリントという呼び方をする人もいます。
昔から矯正歯科でも似たような装置をよく使いますので、自分用にいろいろとデザインし
改良を重ねて何種類も作って使ってみました。上下顎が一塊になったもの
(モノブロックタイプ)は、口を開けてしまうと下あごが後ろに下がってしまって効果が
無くなるし、上下顎、別々にはめてゴムで下顎を前に引っ張るタイプ、その他いろんなデザ
インを工夫してみましたが、私の場合にはどうもうまくいきませんでした。
短期的にはうまくいっても、こういった装置を長期間使っていると、下顎が後ろに戻ろう
とする力が作用して、歯並びが変化してくるために咬み合わせが微妙に変わってしまい
結局は装置が合わなくなってきたのです。
反作用のない程度の下顎の前方移動量では、空気の通りが不十分なのでした。
歯科領域からのいびきに対する効果的なアプローチとして、最近、注目を浴びているよう
ですがすべてうまくいく人ばかりではないことに留意すべきでしょう。
医療者・患者さんの両方がトラブルに巻き込まれないことを望んでいます。 |
| ■矯正治療の有効性 |
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いびきをかく人はあごが小さく、実際、歯並びが悪い人が非常に多いのです。当院では子供
の場合には矯正治療を行う過程で、あごの成長を促進して鼻腔やのどの奥を広げ、気道が
十分に成長することを最優先に考えます。
上顎を広げ、下顎を前に出すことはいびきの解消に大きな効果を発揮します。
大人になってからではこういった治療はできません。
あごが小さい→→のどの奥の方が狭い→呼吸が阻害される
↓ ↓
歯が生える場所がない。 いびきをかく。
歯並びが悪くなる。 口をいつもボーッと開けている。
舌を前に出している。
↓
頭を前方に突き出して姿勢が悪くなる。
咬めない。筋肉の成長が阻害される。
↓
呼吸が悪くなる。
あごの発育が悪くなる 結局、このような悪循環が生じて、『鶏が先か?卵が先か?』
というように口やのどを取り巻く筋肉のバランスが崩れていき、気道の問題や不正咬合の
問題が表面化してきます。
従って、縮こまっているあごの骨をできるだけ成長させ、筋肉のバランスを整えることを
考えたいものです。
『きなみで矯正して、いびきをかかなくなった』『いびきが少なくなった』という患者さん
方の声を聞くにつけ、単に歯の並び方が良くなった、という以上の喜びを感じています。
当院では矯正治療をする場合、口の中の歯の並び方だけを考えるわけではありません。
歯を並べるために安易に歯を抜いたりせずに、まずは十分に顎の成長を引き出すような治療を
考えるべきだと思っています。
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